クライマーズ・ハイ
はじめに
クライマーズハイは、1985年8月12日に起こった日航機墜落事故を報道する架空の地方新聞社の1週間をもとにした物語です(原作:横山秀夫)。それをドラマ化(映像化)したものが、NHK総合テレビで2005年12月に放映されました。
当方は2005年12月放映の際に初めて見たのですが、その後2006年8月にBS-hiで録画し再度繰り返し見ました。ドラマの内容もさることながら、群馬県内で撮影されたものなので非常に気になると同時に、事故についていくつかの書籍・資料を調べたりしました。
以下、ロケ地を簡単に紹介したいと思います(ロケ地調査協力:Country Mobilerさん)。
望月(2008年2月調査)
望月が線路沿いの道をバイクで走る場面です。 |
望月がトラックに突っ込む場面です。 |
病院(2008年1月調査)
安西が収容された病院です。 |
上野村役場周辺(2008年1月調査)
釣宿の公衆の前の橋です。神沢と佐山が出会うシーンなどで使用されました。 |
釣宿の公衆の前の橋を神沢が駆け抜けるシーンで使用されました。 |
上野村役場(現本)です。 |
テレビに映し出されていた上野村役場裏の川です。 |
北関東新聞(2007年11月調査)
北関東新聞の社屋です。高崎市内の建物が舞台となりました。背後の赤白鉄塔は、建設高崎。 |
一ノ倉沢・衝立岩(2007年11月調査)
悠木が歩いている背景に映っていた山。 |
登山道から一ノ倉沢・衝立岩が開けるシーン。 |
一ノ倉沢。衝立岩。 |
ところで、安西と悠木が歩いていた登山道はどこなのでしょうか? 一ノ倉沢から先の登山道で撮影されていたのでしょうか。
谷川岳登山指導センター(2007年11月調査)
悠木と安西燐太郎が待ち合わせをしていた、谷川岳登山指導センターです。 |
谷川岳ロープウェイ(2007年11月調査)
これは2005年にリニューアルした谷川岳ロープウェイ。1時間あたりの輸送人員は、以前と比較してもあまり変化無しの模様。 |
山と川と緑(2007年10月調査)
1985年(昭和60)年8月12日のテロップのある山と川と緑(実際はゴルフ場)の風景です。上毛大橋から撮影されたものと思われます。 |
焼き肉屋(2007年10月調査)
悠木と等々力部長が言い合いをした焼き肉屋です。前橋市内にあります。この店内で撮影されたものと思われます。また、撮影当時から店内はほとんど変わっていないようです。 |
帰宅途中の線路沿い道路(2007年7月調査)
悠木が家に帰る途中の道路です。背景にかすかに見える鉄塔が、NTTドコモのCV吉岡。 |
群馬総社駅(2007年7月調査)
安西が待っていた、群馬総社駅です。 |
土合駅(2007年6月調査・11月再調査)
本編では古いタイプの看板が映っています。 |
補足(放映関連)
NHK総合での放送日程
- 前編 2005年12月10日(土)19時30分~20時45分
- 後編 2005年12月17日(土)19時30分~20時45分
NHK総合での再放送日程
- 前編 2006年9月30日(土)21時~
- 後編 2006年10月7日(土)21時~
BS-hiでの再放送日程
- 前編 2006年8月12日(土)22時~
- 後編 2006年8月13日(土)22時~
DVD
- 品番:ACBD-10364
- JANコード:4988126203641
- 発売:アスミック
- 販売:角川エンタテインメント
- 定価:4700円
補足(資料)
下記は当方が読んだ日航機墜落事故、クライマーズ・ハイ関連の書籍・資料です。
- 日航ジャンボ機墜落 朝日新聞の24時(朝日新聞社会部・朝日文庫)
- 日航機墜落(河村一男)
- 日航123便墜落事故対策の記録(群馬県)
- クライマーズ・ハイ(横山秀夫・文春文庫)
- 映画テレビ技術 2006.3(日本映画テレビ技術協会)
- NHK前橋放送局75年のあゆみ(NHK前橋放送局)
補足(名言集)
NHKドラマ版の名言集です。
- 粕谷「役職に背を向けたまま生涯一記者を貫けるほどうちは大所帯じゃないからね。」
- 佐山「そんなの関係ないでしょう。世界最大の航空機事故がすぐそばで起こってるんですよ。うちであろうが長野であろうが記者なら現場を踏むのが当たり前でしょう。」
- 田沢「お前が決めろよ。全権だろ?」
- 悠木「あ、ちょっと待て。明日中に現場雑観を書いてくれ。北関の目で書いた記事が必ず欲しい。お前に託した。」
- 等々力「お前の指示が悪かったからじゃないのか?」
- 悠木「だからあれはただの意地で書いたもので現場雑観じゃない。」「お前が見てきてきたものをちゃんと読ませろ。」
- 等々力「今なら許してやる。そこに土下座しろ。」
- 悠木「確かに佐山の雑観が載る可能性は奇跡に近かった。でも奇跡はゼロじゃなかったんだ!」
- 弓子「鼓膜が戻ったってすべてが元に戻るってわけじゃないでしょ。」
- 亀嶋「あんたがこの事故の責任者だろ? かわいくねえのかよ。」
- 小百合「山を捨てたこの人は燐太郎とどう向き合ったらいいのかそれさえわからない 何でもない人になってしまったんです。「自分が一番大事にしていることを息子に教えてあげられない」。」
- 伊東「つけあがるな! お前らだけが新聞作ってるんじゃねえんだぞ!」
- 悠木「ネタがネタだ。アタマにぶつかれ。主席調査官だ。遅くなってもかまわない。宿の便所か脱衣所で締め上げろ!」
- 悠木「このネタが生きるか死ぬかはお前のサポートしだいだ。頼むぞ。」
- 田沢「こいつ昔っからそうなんだよ。大きな判断を迫られたら必ず逃げちまう。やれ「裏が取れない」だの」「もう一日調べたい」。お前それで何本の抜きネタ飛ばしたよ。悠木。お前東京に負けたんじゃねえよ。自分に負けたんだよ。」
映画版クライマーズ・ハイの感想
2008年夏に上映された映画版クライマーズ・ハイの感想です(随時更新しています)。
総評
- 原作の「読み返し、また手を入れる。さらに無駄を削ぐ。最上級の抜きネタに贅肉はいらない。骨格だけをひたすら際立たせるのだ。」という文章に反し、映画版は何でもかんでも盛り込んで、全般的に際立った部分が無かったのは残念。意味不明な部分が多く、映画を観た後にいろいろと調べなければ理解できない。この点、NHKドラマ版はうまくまとまっていると思います。
- しかし映画版にするにあたり、全体的に現代風(ザワザワ感が多い)にアレンジされているのは、これはこれで良いと感じました。
印象的だった事
- 安西燐太郎と悠木が山の中を歩く場面の後の谷川岳を映し出すシーンは、山のスケール感があってすばらしい(その後に1985年8月12日の画面)。BGMともマッチしていると思う。全般的に山のシーンは良いと思います。
- 佐山が悠木に事故現場に行きたい旨電話で話しているシーンは迫力があったと思う。
- 佐山が書いた現場雑観を、編集局の皆で読み上げるシーン。
- 「大久保連赤」言葉の意味をテロップで流したこと。
- 「トップが頂上を踏むためには下でザイルを確保するセカンドが必要なんだ。」「スクープが山登りと同じだ。」「大丈夫。ザイルで俺とつながってる。」など、登山とドラマの内容を組み合わせた台詞が何回もあること。
- NHKドラマ版では無かった「墜落現場、墜落現場までの道のり」「日航のおわび記事と墜落記事を同じ紙面で取り上げた事に対する悠木の怒り」「広告を外して暮坂部長と言い合いをするシーン」「遺族の検視所に新聞を配りたい」シーンが盛り込まれていた事。
- 電話口で「サツ官ならイエス」の後に、佐山が電話口で解説を入れていた事。ドラマ版だとわかりにくい場面かもしれませんので、良かったと思います。
- 終盤、屋上で佐山が遺書のコピーを読み上げる場面全体。佐山が「1面トップでやってくださいよ。」という部分は最高。
- 共同通信ニュース速報の読み上げ内容は、微妙にNHKドラマ版と違うような気がしましたが、声はソックリ(誰でしょうか)。
- 悠木、佐山、岸、田沢、等々力、玉置は良い役していると思いました。
残念だった事1
- ホームページの予告編は見ないほうが良かった。名台詞が映画の後半の方で出てくるので何かトーンダウンしてしまうのです。「命」の大切さもあまり良く伝わってこなかった。それと「蛍星」は?
- オープニングの一ノ倉沢でのシーンや、地下の販売局での安西耿一郎の発言。何を言っているのかちょっとわかりにくい。
- 伊東販売局長のネチネチっぷり。
- 黒田美波・社長秘書・悠木の母親の事を取り上げている事。
- 神沢が事故現場から戻って来た後の行動・発言・場面の全て(悠木に詰め寄るシーン・交通事故・葬式など)。なお、事故現場の事を悠木の車の中で語った部分はフジテレビ放映版では省略されている。
- 遺品泥棒シーン。
- 公式プログラム(パンフレット)で紙飛行機に折られた8月13日の新聞。無神経のように感じた。
- クロージング部分で撮影協力の部分で「水上町」と記載されていた事。「みなかみ町」でしょ。
残念だった事2
- 上野村役場付近でウロウロしていたカメラマン。書籍「御巣鷹の謎を追う」で取り上げていた、サーチライト3回点滅・事故現場は分かっている・意図的に近づかせないようにしているのではないか、などを取り上げたこと(フジテレビ放映版ではカットされていた)。
- クロージング部分で、事故原因と事故調査再開を望む声が多い事などを、テロップで出したこと(フジテレビ放映版ではカット)。
- 事故現場で座り続けているご年配の消防団員?にインタビューした際の発言内容(フジテレビ放映版ではカット)。
良くわからなかった部分
- 冒頭の空港のシーン(文庫版では存在しない)。
- 衝立に登るシーンは「2007年7月」だったのですね。なぜ、映画公開の2008年7月ではないのでしょうか。
- 悠木が乗客名簿を見てミヤジマケン(9)の部分で止めている事。冒頭に出て来た息子の淳のことかと思った。後で調べると実際にこの航空機事故で亡くなられた方のようです。なお、詳細はインターネットのQ&A掲示板等に記載されています。
- 佐山と神沢が事故現場へ向かう途中にトランプのスペードのエースを発見する場面。公式プログラム(パンフレット)に解説がありました。
- 安西小百合と悠木が病院の廊下で話すシーン。「悠ちゃんを下ろすために登るんだって。」の部分。
- 玉置が「悠木さんらしくないです」と詰め寄る部分は何か不要の気が(フジテレビ放映版ではカットされている)。
- 悠木が家に帰宅し昔の事を回想するシーン。
- 神沢の葬式後に神社まで歩くシーン。必要なのか?
- 悠木が抜きネタを打つかどうか迷っているシーンに現れた外国人が映画を見ているような回想シーンは意味不明(インターネットのblog上で解説があったような気がしましたが失念)。
- 白川社長が編集局に寄り、悠木が辞表を提出する場面全体。辞表を提出するほどの事をしたのか。
- 土合駅の前での安西燐太郎との淳の話と、ニュージーランドシーン(文庫版では存在しない)。
その他
- 「現本」の読み方。映画版で佐山は「ゲンホン」と読んでいます。フジテレビで放映されたクライマーズ・ハイの字幕も「げんほん」でした。ドラマ版を確認したら、1つ目は字幕が「げんほん」で2つめの字幕は「げんぽん」でした。いずれも悠木、佐山は「ゲンポン」と呼んでいました。
- 佐山と神沢が事故現場へ向かう途中に沢の水を飲むシーンは、ドラマ版と同じ場所か?
NHKドラマ版とのシーン別比較
- 悠木「何で山に登るんだ」、安西「下りるため」の場面。NHKドラマ版と比較すると、少し軽い。
- 共同通信ニュース速報で「群馬長野県境に墜落した模様」のアナウンスが入るタイミングはちょっと早い。
- 「単独の航空機事故としては史上最大」の発言がNHKドラマ版と比較すると軽い。
- 佐山「すぐそこで世界最大の航空機事故が起きてるんですよ。現場行きますよ。」ですが、NHKドラマ版で言っていた「記者なら現場を踏むのが当たり前でしょう。」の名台詞がないのはちょっと残念。
- 遺族が編集局に新聞を求めに立ち寄ったシーンは、表現・演出が軽い気がする。またその後の福中双方・トップ記事の話も少々迫力不足。
- 料亭で等々力部長と悠木が言い争う場面。別の場所で麻雀をしている局員の場面や、等々力が「どんだけ負けようがな負けたって言っちゃならねえんだよお前」の以降の部分は不要だと感じた。
- 抜きネタを打つのを等々力部長に話す場面。追村と粕谷が映る場面は不要だと感じた。
- 全般的に編集局次長の追村が癇癪玉を弾かせていなかった。言いたい放題言っているだけの印象。
名台詞(明日から仕事で使える?)
- 等々力「どたばたで聞き逃したんじゃないか。」
- 悠木「紙面制作の一切の権限は編集局にある。口出しは無用に願います。」
- 悠木「北関の伝統は現場で他社を圧倒するということじゃなかったんですか?」
- 悠木「これだけは覚えとけ。お前を調子づかせるために520人は死んだんじゃないんだ!」
- 伊東「坊や。力むな。しょせん新聞じゃねえか。試しに2~3ページ白紙を交ぜて紙面作ってみなよ。俺らがきっちり売ってやるよ。」
- 悠木「俺が全権でなかったらお前も佐山もスター記者になれた。」
- 追村「大きな判断迫られると必ず逃げちまう。」
補足(放映・DVD関係)
- フジテレビ:2009年8月8日(土)21:20~24:00(ワールドグランプリバレー延長のため):テレビ放映時間に合わせていくつかのシーンがカットされている。
- DVD:ソニー・ピクチャーズ:クライマーズ・ハイ デラックス・コレクターズ・エディション(2枚組):BDD-60758:2500円(2009/10/23発売)
- ブルーレイ:ソニー・ピクチャーズ:クライマーズ・ハイ:BJS-60758:4980円(2009/01/01発売)
映画版・ロケ地
以下は映画版クライマーズ・ハイのロケ地を紹介したいと思います
新潟空港(2011年1月取材)
オープニングの悠木と淳の空港での場面です。ここは新潟空港で撮影されました。
階段から撮影してみました。 |
この辺りで悠木と淳がしゃべっていました。 |
オープニングで1秒くらい映し出された場面です(実際はさらに奥側)。映画中、この場面でかすかに見えた看板がロケ地の発見の決め手となりました。 |
前橋ビル裏側(2010年11月取材)
佐山が自転車で疾走する場面、および白川社長が車から乗り降りする場面です。
白川社長が車に乗り降りする場面です。前橋ビルの裏側です。 |
佐山が自転車で疾走する場面です。こちらも前橋ビルの裏側です。 |
料亭(2010年5月取材)
悠木と等々力が言い争いをした料亭です。 |
土合駅(2010年3月取材)
土合駅下りホームから地上に向かう階段です。 |
380段目です。 |
462段の階段を登りきった後の通路です。 |
土合駅の入口付近です。 |
一ノ倉沢(2009年10月取材)
オープニングで安西と悠木が話している沢です。撮影場所が本当に一ノ倉沢かどうかは不明です。 |